2020年代の想像力 文化時評アーカイブス2021―23 (ハヤカワ新書 011)

  • 早川書房 (2023年8月22日発売)
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感想 : 13
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つまみ読み。標題の作品を鑑賞してなくても、批評の中に自分が知ってる作品が少なからず登場するので、意外に楽しめた。
20世紀は、ヒトラーに代表されるように、「他人の物語」を共有し(させ)社会を大きく動かすことができた時代。
しかし、21世紀、人々は誰もが簡単に「自分の物語」を発信し、「他人の物語」に感情移入するより、現実の中で「自分の物語」に承認を与えられる快楽を覚えてしまった。虚構は現実に敗北している。
歴史へのアプローチが短絡的になっている。「宇宙戦艦ヤマト」は歴史の捏造、「うる星やつら」は、歴史の忘却。虚構はサプリメントのみの役割ではない。
作者曰く、アイスクリームを食べて、冷たくて甘い!と文句を言うことがおかしいことだと理解できない人達がいると。自分は何かを語り得る知性の持ち主なのだと表明するために、レビューやタイムラインに「個別の作品評ばかりが並んでいて期待外れだった」などと批判を投稿するかもしれないが、批評とはもともとそういうもの。
以下、なるほどねと思った標題
「街と不確かな壁」村上春樹と老いの問題
無自覚な老人小説である。村上作品に登場する女性は、「自分より弱い立場」で、主人公の男性的ナルシシズム

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月1日
読了日 : 2024年1月1日
本棚登録日 : 2024年1月1日

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