つまらない住宅地に住む10世帯の人たち。
一見どこにでもあるような住宅地の平凡な家族のようだけれど、ある家の両親は子どもを庭の倉庫に閉じ込める計画を進めているし、その近所のシングルマザーは小学生の子どもを放置して彼氏にうつつをぬかしているし、そこんちの子どもを誘拐しようとしている独身男はいるし。
まったくどいつもこいつもろくでもない!(もちろんそうでない人もいるけれど)
そんな中、刑務所を脱走した犯人が近くにいるらしいというニュースを受けて、妙に張り切る自治会長が夜中に交替で近所の見張りをしようと言い出します。
困るわ〜、こういう人、って私が住民なら思うけど、普段からそれほど交流のなさそうな近隣住民は意外に協力的で、大人が協力的でない世帯からはなんと子どもが自主的に参加したりして、老若男女、住民たちが交わり始めて…
犯罪すれすれな件の住民の大人たち、そして大人の身勝手を受け止めながらもがいている子どもたち。
淡々とした筆致で描かれる閉塞的な日常がリアルで、そこに非日常である『脱走犯』が絶妙の距離感で絡んで、物語は転がっていきます。
登場人物が多くて、慣れるまで読むのがちょっと大変ですが、でもとても面白かったです。
人との関わり合いの中で、ちょっと視点がずれたり気づいたり、そんな事が実は結構大事なんだよねえとしみじみしたけど、頑迷なまでに変わらない人は変わらなくて、それもまたリアル。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年5月4日
- 読了日 : 2021年5月4日
- 本棚登録日 : 2021年5月4日
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コメント 1件
gusshoさんのコメント
2021/12/19