友人が寺山修司の「半分愛して」を朗読するのを聞いてすごく切ない気持ちになった。もっと彼の詩を読みたくなってこの詩集を教えてもらった。「流れ星のノート」と「幸福についての七つの詩」の六番目の詩が好き。こんな感性、初めて触れた。
『流れ星のノート』
果物屋の店先には かならず傷のついたリンゴがまじっています。
同じ一房の葡萄のなかにも 一粒か二粒の痛んだものがありかならずある
人生も同じことです
同じ日に同じ町で生まれても
すべて順調にいく人と 何をやってもうまくいかない人とがある
ここにおさめた傷ついた果実たちを
運がわるかったと言うのは 当っていないでしょう
彼女たちは より深く人生を見つめ
その裏側にあるものまで見てしまったのです
そして
そんな詩を書ける人こそ
ほんとの友だちになれる人なのではなかろうか
『幸福についての七つの詩』
ポケットを探したって駄目です
空を見上げたって
涙ぐんで手紙を書いたって
駄目です
郵便局に日曜日があるように
幸福にだって休暇があるのですから
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年8月31日
- 読了日 : 2016年8月31日
- 本棚登録日 : 2016年8月21日
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