仕事にしばられない生き方 (小学館新書)

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羽さん  未設定  読み終わった 

一言で表すなら、波瀾万丈の人生だ。共通点なんてなさそうなくらい、わたしとまるっきり違う人生。母の代わりに14歳で一ヶ月ヨーロッパ旅行。17歳でイタリアに飛び、美術学校に通いつつバイトに明け暮れたこと。ジリ貧でアパートを追い出され、駅で一夜を明かしたこともあるそうだ。20代後半、パートナーが商売で失敗した負債を背負い、鬱になり病院の精神科に入院。妊娠していたが、帰国してシングルマザーになることを決意。しばらく日本で働くも、再婚しシリアやポルトガル、シカゴを転々とする。その間『テルマエ・ロマエ』が大ヒットしたが、彼女は裏で苦しんでいたこと。多国籍の友人たちがいるからこそ分かる世界から見た日本の出版業界の異常さも含め、物事を俯瞰して見ることが大事だという。既存の価値観を疑い、新しい価値観を切り拓くことの大切さも、お金を価値の基準にしたらダメなことも。あまり思い出したくない経験も書かれていたことをあとがきで知ったが、そういうふうに自身の弱さもさらけ出せる強さが好き。お金がないから好きな海外旅行を控えていたのだけれど、貯金と時間のどちらが大事か答えが出た。マリさんのように「貨幣価値があまり意味をなさない国」に行きたいという思いがむくむく湧いてきた。

p63
なんであれ、自分の中に考える基準になるものがあると、人生は少しだけ、しのぎやすくなる。漠然と悩んじゃうから不安ばかりが募っていくわけで、振り出しに戻った時の最初の一歩の踏み出し方さえわかっているば、生きることはもっと怖くなくなるんじゃないか。自分にとっての物差しにできるかどうかは、頭の中で考えていたってダメで、やっぱり、身をもって経験した実感があることが大事なんだと思います。

p67
14歳のあの時の私が、心の中のもうひとりの自分を意識することで、目の前の困難を乗り越えていくことができたのは、自分自身を俯瞰することができるようになったからだと思います。
何があろうと、どこかで私のことをじっと見ている、もうひとりの私がいる。自分は自分を見放さない。
そう思うと、強くなれたし、なんだってできる気がしました。不安な気持ちに飲み込まれそうな時も、自分自身の核にある本質は変わりはしないのだからと、どんなことでも乗り越えていける勇気を持つことができたのです。

p69
だいたい、はなっから「自分はこういう人間です」なんてわかるわけがないんです。わかっているつもりでいるなら、それは、たぶん「これまでの自分」に過ぎない。自分なんてものは、そうやっていろんな経験をするたびに、どんどん上書きされて、更新されていくものじゃないでしょうか。
だとしたら「私って、こうだから」と、やる前から自分の枠や限界を決めてしまう必要もない。その時、その時に、自分がやれることをやってみればいい。

p83
物欲に支配されている時、人は、たぶんその物が欲しいというより、自分の心の中にある空白を埋めてくれるものが欲しいんじゃないか。それが何かわからないから、ちょうどぴったりくるものを探して、あれもこれもと買い続けてしまう。

p85
もっと俯瞰して、考えよう。人生にはこういう時代もある。そしてそれはきっと無駄にはならない。

p90
お金のあるなしで、人間や物事の値打ちを決められてたまるものか。

p91
「いいかい、マリ。ちゃんと考えるんだ。そして考えたことを、自分の言葉で人に伝えること。そうすると、ひとりで頭の中で考えているのとは、まったく違うことが起きることに気づくはずだ。人は対話をすることで、考えたことをさらにその先に展開していくことができる。大事なのは、どっちが正解か、勝ち負けを決めることじゃない。互いの考えを持ち寄ることで、もっと深く考えることができることなんだ」

p96
私が思う真の贅沢は、ひと言で言うとしたら、人間関係にこそある。
人と人が出会い、互いを尊重し、それぞれが育んできた知性や教養を持ち寄った時に、生まれるもの。与えられた命と知性を使って、この世界をより深く掘り下げ、知っていく喜び。これ以上の贅沢があるでしょうか。

p122
生きることは、自分が本当に大切だと思うことを大切だと言い続けるための闘いなのだと思います。

p160
肝心なのは、いつでも、自分がどこでどうしていたら、生き生きとやれるのかを考えることのはずです。
本当は嫌だと思っているのに、自分の本心をささいなことだとねじふせてしまうのが、いちばんよくないことだと思うのです。

p164
どうせ暮らすなら、なるべく貨幣価値が意味をなさないところがいいなと考えていました。

p174
手塚治虫は、トキワ荘で切磋琢磨していた頃の赤塚不二夫に、こう言ったといいます。
「いい漫画を描きたいなら、漫画から学ぶな。一流の映画や小説、音楽と接しなさい」

p178
物事を考える時、私は、できるだけ俯瞰して考えるようにしています。
それについて自分が、何を感じ、どう思ったのかという主観的な感情をひとまず横に置いて、できるだけ俯瞰して、客観的にとらえ直してみると、その出来事の持っている本質的な問題点が見えてくるからです。

p279
人生なんて本当にあっという間ですから、やるべきことを優先して、どんどんやっていかないと、やりたいと思った時には、時間切れになってしまいます。

p310
欲望というのは、人それぞれ、いろんなかたちをしているけれど、その底に何があるのかと掘り下げていくと、人間は、みな、孤独で「さみしい」ということに行き着くんじゃないか。

レビュー投稿日
2019年5月11日
読了日
2019年5月11日
本棚登録日
2019年5月7日
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