女性ホルモンは賢い: 感情・行動・愛・選択を導く「隠れた知性」

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羽さん  未設定  読み終わった 

装丁が可愛いので、よくある女性向けの恋愛指南書かと思っていましたが、一般向けとはいえ中身はしっかりした科学本でした。

著者はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学教授。すべての女性が “ホルモンの周期の範囲、方法、時期、理由を理解すれば、大きな恩恵を受けることができる” と著者は言います。“自分自身のホルモンの性質に無知でいては、まったく自分のためにならない。その反対に、ホルモンの知性を知ることは自分のためになる” のだと。

例えば、妊娠可能性の高い時期-エストロゲンというホルモンのレベルの高い時期-は、そうでない時期よりも露出度の高い服を着、ちょっと危険な香りのするイケメン・プレイボーイに惹かれるそうです。またエストロゲンのレベルの高い時期は、行動が活発的になり、食べる量が減るそうです。

女性はホルモンにコントロールされていると言われることがありますが、生理前にイライラしたり、身なりに気を配ったり、赤ちゃんを守ろうとするのはホルモンに導かれた戦略的行動であることが、読み進めていくうちにわかってきました。

将来のパートナーを探している女性、これから母になる女性、子育て中の女性、子育てを終えた女性、あらゆる女性のに女性ホルモンについての知識を与えてくれる本です。もちろん、女性についての理解を深めるために、男性が読むのもいいと思います。

正確な邦訳(直訳)なので、読みづらいかもしれません。ある程度、邦訳ノンフィクション慣れしている方なら大丈夫かと思います。

p70
そうした質のひとつに左右対称がある-体の左右がどれだけ同じかという点だ。これは体を発達させる際の遺伝子の青写真にほとんど欠点がなかったことを意味し、その事実は遺伝子の変異がないこと、そして正常な発達を妨げて体をあれこれ弱らせるかもしれない自然の乱雑な力(伝染病、疾患、けがなど)に耐える力があることを表している。

p89
エストロゲンは女性の胸を大きくし、腰と臀部に男性より多くの体脂肪を蓄積させる働きをもつ。胸が豊かで胴がくびれた古典的な砂時計のような体形はエストロゲンのレベルが高いことによって生まれ、科学者たちはそうした独特の体形をもつ女性は「生殖能が高い」ことを示してきた。

p98
周期のうちで最も妊娠可能性の高い、エストロゲンのレベルの高い時期の女性の行動は、進化の観点からは納得がいく-私たちはそれがパートナー探しの行動であることを知っている。ところがPMSの行動はそれとは正反対のように思える。その症状はエストロゲンの減少と関連し、身体的な不快感、非社交的な感情、興奮、そして性的衝動の欠乏まである-まるで何かが失敗ち終わったかと言わんばかりに、女性を孤立させるように思える。だがおそらく、そうした行動は実際には戦略的なものだ。PMSは、特に再び月経がはじまろうとして、体の生殖の予定が妨げられるように思えるとき、女性同士、または一部の男性との仲を悪くさせる自然のやり方なのかもしれない。

p99
PMSの非社交的な行動は、生殖の手助けをできない-子または配偶子をもたらさない-男性を避けるために進化してきた可能性がある。

p140
それでも、エストロゲンのレベルが上昇して排卵が近づくにつれて、特定の行動-女性が男性と接触する機会を増やすと思われる行動-は明らかに急増する。

p168
メスは発情期になると血縁のオスを避けるようになり、これは進化の観点から非常に筋が通っている。

p169
血縁関係のない両親はそれぞれが異なる免疫関連遺伝子をもっているから、より広範囲にわたる免疫を子どもに伝えられる可能性がある。

p182
私の研究の結果によれば、妊娠可能性のピーク時にある女性はこのとき自分の身体的魅力が増していると感じ、恋人ま夫がいる場合、その期間中には彼らが「配偶者防衛」と呼ばれる行動を見せる(いつもより嫉妬深く、独占欲が強くなる)ことが多くなる。

p225
(前略)妊娠可能性のピーク時に起きるエストロゲンの急増は、女性にとって脅威となる状況や個人を避けるのに役立つ。妊娠中にはプロゲステロンをはじめとした数種類のホルモンのもつ保護効果が、危険な食べものの選択を避けたり怪しい状況や個人から遠ざけたりして、発達中の胎児を守る手助けをしてくれる。

p264
母乳を与えている母親は与えていない母親に比べ、産後うつのレベルが低くなっている。

p278
たとえば食品ラップから食品缶詰の内面塗装、さらにレジで打ち出されるレシートまで、プラスチックの製造で使用されているビスフェノールA(BPA)だ。BPAは分子的にエストロゲンに似ており、一部の科学者はこれが年若い少女の乳房発育など、体にエストロゲンと同様の影響を与える場合があると考えている。

代替品であるビスフェノールS(BPS)を少量だけ水に混ぜてゼブラフィッシュへの影響を調べた実験では、BPAの場合と同様の生殖パターンの混乱が見られ、胚の発達加速や孵化パターンの高速化が生じた。BPSもBPAと同じく、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌をはじめとした神経内分泌系に影響を与えており、このホルモンは思春期の開始、最終的には生殖能力の発達を手助けする。つまり、BPAやBPSなどの化学物質は生殖器官の重要な発達を加速させており、若い少女を含む人間にも同じ影響を及ぼす可能性がある。
BPAは非常に大きな注目を集めたが、合成洗剤、殺虫剤、難燃剤、フタル酸エステル(パーソナルケア製品[石鹸、シャンプー、化粧品など]からフローリングまでのあらゆるものに使われている化学的「可塑剤」)その他の製品には別のエストロゲンに似た化合物も含まれている。

p279
親たちは、ミルクの生産量を増やすためにウシ成長ホルモン(rBGH)を加えられた餌を食べて育った畜牛の乳製品を、子どもに食べさせてよいものかどうか思い悩むことが多い。ホルモンによって子どもの思春期が早まるのではないかと心配しているからだ。成長ホルモンが添加された餌を食べている家禽や家畜で作られた動物性食品を避ける理由は、まだほかにもある。餌に抗生物質が加えられたり、餌の穀物に毒性のある殺虫剤が散布されたりして、それらが肉、卵黄、乳脂肪を含む動物性脂肪ち蓄積されている可能性があるのだ。

p285
科学を知ってください。自分自身を知ってください。そうすれば、最も豊富な情報に基づいた決定を下せるようになるでしょう。

身なりに気を配って強い気持ちをもつこと、積極的に外出して新しい人と知り合うこと、避けるべきもの(人)を知ることは、大切にすべき戦略的行動であり、それらはホルモンに導かれた行動でもある。赤ちゃんを守ろうとする衝動、愛情深くて手助けをしてくれる誠実なパートナーを見つけようという衝動も同じだ。

p286
私の考えでは、すべての女性が(年若い少女から年長の女性まで)ホルモンの周期の範囲、方法、時期、理由を理解すれば、大きな恩恵を受けることができる。

自分自身のホルモンの性質に無知でいては、まったく自分のためにならない。その反対に、ホルモンの知性を知ることは自分のためになる。

レビュー投稿日
2020年5月11日
読了日
2020年5月11日
本棚登録日
2020年5月11日
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