
こんなにファンタジー入りの設定の漫画をすんなり楽しく読めたのは久しぶり。映画サークルの先輩・月子と同居することになった大山は、あることで月子を激怒させてしまう。その時、月子の「チカラ」で大山たちの暮らす守譜町の人々は、自らの願望を具現化した姿になるようになってしまった。ねこになったおばあちゃん、人魚になった女子高生、狼男になった大山、そして月子は……。
「欲望を具現化した姿」という設定と、自己主張の強いめんどい強欲な女である月子がこんなにマッチするとは。フィクションの中のツンデレは、隠しているデレが読者や視聴者にはわかるから可愛いのであって、その隠している部分が否が応でも表に出るこの設定は相性がいい。そんな月子に真っ直ぐな大山や、二人の間に入る寺山、思い悩む月子と裏腹に現象を楽しむ町民、そして自分だけが現象を受け入れられないという月子の苦悩が、この恋物語を安っぽくさせずにいる。難解ではなく、しかし決して浅くはない、絶妙なさじ加減で描かれた漫画。
- レビュー投稿日
- 2012年4月18日
- 読了日
- 2012年4月18日
- 本棚登録日
- 2012年4月18日
『恋煩いフリークス (ビームコミックス)』のレビューへのコメント
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