ユニクロ

著者 :
  • 日経BP (2024年4月4日発売)
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本棚登録 : 802
感想 : 30
4

 ファーストリテーリング社、そして柳井正に迫ったノンフィクション。企業史的な側面が強いが柳井へのインタビューを元に構成されており読み応えがある作品だ。
 僕の年代はフリースブームから野菜事業の失敗、安さからの脱却が話題になっていた時期でどちらかといえばユニクロが成長し、大企業に変化していく様子を共有した世代だ。作中にもあったCMも記憶にあるし、ある意味で新興企業がアパレル業界で目新しい事をしているぐらいに思っていた。
 実際に社会人になり目の当たりにするのはユニクロの成長のスピードや柳井さんの経営の特殊性であり、数々のビジョナリーカンパニーと同様に今後世界でも有数の企業に成長する可能性のあるファーストリテーリングという企業の強さや問題点についてとても丁寧に描かれている。登場人物も本人に基づいており、リアリティある作品だ。
 一方、小説では無い為、一つ一つの章が理路整然とされており、少しだけ物足りなさを思う。ユニクロを退社して行った人達の葛藤もあるわけだし、そういった部分も読んでみたかった(当然だがノンフィクションの為、インタビューが出来なければ難しいのだが。)

柳井正という経営者については他にも様々な本を読んでいた為、もう少し冷徹な、気難しいイメージがあったが、一方で若かりし頃は様々な葛藤を持ち学生生活を送ってきた事がわかった。
 また、彼自身の経営者としての手腕も去ることながら、彼に魅せられ入社し、実力を発揮してきた面々も魅力的であり、様々な成功や失敗の積み重ねが柳井の元に参じたメンバーによって成されたのだと理解できた。
ある意味でユニクロを去ったメンバーもそれぞれの役割を演じ、それぞれの人生に大きな影響を受けており、個々の活躍や成長過程を読み物として読みたい興味があるが、ノンフィクションからは逸脱してしまう。「海賊と呼ばれた男」の様に小説になったユニクロも読んでみたい。
しかし、やはりノンフィクションは面白い。過去に読んだ企業史やビジネス書の中でも今作は面白い作品だった。もう少し各章を掘り下げて欲しいという要望や、現在のユニクロについても掘り下げて欲しい想いはあるが。今後、更に成長を重ねたユニクロ史に期待したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2024年5月1日
読了日 : 2024年5月1日
本棚登録日 : 2024年4月21日

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