今や巨大プラットフォーム企業は国家を超えた存在となった。
ユーザーの莫大なリソースや情報を抱え込みながら、
サービス利用料という税金を徴収し、利用規約という法律を作り、
国家予算を越えるほどの収益を生み出している。
こういうの、どーかとおもいますけどねーーー!!!
というお話。
実質現代の経済を支配する巨大プラットフォーム企業たち。
彼らは選挙なく選ばれた、領土なき国家の皇帝だ。
自分たちは仕組みを整備する配管工をやっているつもりかもしれないが、
その実、政治家となっている。
開かれた市場を目指し、
ユーザーによるユーザーのための居場所を作るため、
権力や既得権益を打破しようと生み出されたはずの、
様々なオンラインプラットフォームたちはいつの間にか、
自らが忌み嫌っていたはずの権力そのものになってしまった。
この問題に気づいた者たちは、
なんとか理想に立ち返ろうと様々なシステムの導入を試みたが、
極めて良心的な思想を持ったオーナーを持ってしても、
いまだ理想とは程遠い状態になっている。
どんなサービスも必ずその道を辿ってしまう。
結局のところそれは、新しい支配構造を生んだだけだった。
あるいはここで必要なシステムとは、現代的な制度に基づくものではないかも知れない。
彼らが皇帝なら、今のオンラインプラットフォームを取り巻く状況は中世の社会と同じだ。
皇帝による君主政治に対し、
市民革命を経て共和政に移行し、議会による民主政治が行われるようになったのが
人類の歴史で、それが現代の政治制度に繋がっていく。
つまりまず、立法と行政を分ける必要があるのだ。
それをひとつの企業が同時に行使していることに問題の根幹がある。
必要なのは、権力を分散し、互いに監視、牽制しあう政治システムだ。
我々は歴史上様々な痛みを経験しながら、何度も間違え、そのつど立て直し、
ようやくこの社会制度を生み出してきたのではないか。
「プラットフォームの経済的制度はかなり現代的かもしれないが、政治的制度に関しては、暗黒時代のままだ。このため、プラットフォームは、公平性や尊厳よりも私利私欲を優先させる安価な制度枠組みを用いて、国家の諸制度と競争できてしまう」
第12章 / p295
現状は、プラットフォーム上のサービスを利用して生計を立てる者が現れる一方で、
彼らの生殺与奪権はプラットフォーマー側が握っており、
なんら説明することなく、急な制度変更や、値上げを行うことができる。
たとえそれにより生活が立ち行かなくなる人が現れ、命の危険にさらされても、
プラットフォーマー側は考慮しない。
福祉の概念が存在しない暗黒社会のようなものだ。
と。
これらを裏付ける事例が、
プラットフォーム事例と歴史事例から見出せる共通の構造として様々引用されていきます。
まあまあボリュームあるので読むの大変だけど、
付箋はいっぱい貼ることになったな。
あの件も、この件も、全部に先回りして反論が用意されてる周到さ。
もうわかった、わかったから。
うんうん。これもそうだね、あれもそうだね。
んんー!!プラットフォーマー許すまじ!!
という気分になってくる。
おちついて。
自分もデジタル系制作会社に務める身としては、
業務上必要なツールやサービスの値上げに直面することは多々ありまして。
身につまされるなあ。
- 感想投稿日 : 2025年6月12日
- 読了日 : 2025年6月12日
- 本棚登録日 : 2025年6月12日
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