甲州赤鬼伝

  • 学研パブリッシング (2015年8月25日発売)
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戦国時代、武田家に帰属する山縣家の赤備え。武田家滅亡後井伊家に伝わり後世に名を残す軍団として有名では有るが、
これは赤備えの物語。
長篠の戦からスタート、いきなり山縣家の当主が戦死、乱戦の中、長男も戦死。若干14歳の山縣昌満が後を継ぐ。
父、兄、の死が信じられず現実世界から逃避しようとする昌満。周囲に助けられてやがて頭領の風格を顕すに至るが、同時に武田家は滅亡への道を
転げ落ちるように突き進んでいく。天正10年、織田徳川連合軍との緒戦で昌満は華々しく散る。そして緒戦からあっという間に戦国の雄、武田家は滅亡する。
近時、武田家滅亡を描く小説は多いけれど、本作は山縣家を描く。山縣昌満の視線から武田家を描いた、という訳でもなく滅亡に巻き込まれていく譜代の武家の悲哀を描いている。ちょっと新鮮。赤備えの一糸乱れぬ戦い振りと勇猛果敢な吶喊に感銘した井伊直政よって赤備えは徳川家に引き継がれていく。
史実はどうあれ、上手いこと「赤備え」の主役交代が描かれている。表紙もハデだ。全身赤に染まった鎧兜に鬼を模した面当てを付けた武者が燃え上がるように
仁王立ちする。表紙と題名のインパクト勝ち!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年11月13日
読了日 : 2015年11月11日
本棚登録日 : 2015年11月11日

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