日本文学盛衰史

  • 講談社 (2001年5月1日発売)
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本棚登録 : 105
感想 : 13
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 小説です。タイトルだけ見ると違う気がしますが、小説です。
 で、久々にオモレェートモレェーと読んだ。小説でしか出来ない仕事を久々に見た。

 簡単に紹介すると、明治を生きた小説家や詩人たちの動向を小説にしたもの、です。二葉亭四迷から始まって鴎外、漱石、啄木、紅葉、一葉――と、だいたい、こういう文人とか芸人とか政治家というのはエピソードの固まりで、それだけ面白い人々だからできる職業であるともいえると思うのですが。
 この「明治期の日本文学」を、小説家である高橋源一郎がどうりミックスするか。分解して再構成するか。本作のキモはなにしろその辺の「小説の可能性」であると思われた。
 読者のミナサマにはあんまり難しく捉えて欲しくはないのです。ただ、ある素材に対する料理の仕方、という意味で物凄いものが見られますよ、と云うことでいいかしらん。

 映像他いろいろの媒体に小説と云うジャンルが押されているようなことが云われているけれども、その上で「小説は面白い!」という証拠として、この作品、勧めてもいいんじゃないかなぁー、と思った。具体的になにがどう面白いか、というのはこれから読む人のために書きたくないのですが。

 ただ、このくらい「何でもアリ」じゃないとどんなジャンルでもそこそこで終わっちゃうだろうなぁとは思った。
 筆者はハードカバーで読んだのですが、文庫版が出ているので「可能性を追求しているものを読んでみたい!」というかたは、是非是非。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・エッセイ
感想投稿日 : 2013年7月3日
読了日 : 2013年7月3日
本棚登録日 : 2013年7月3日

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