セックスをして、子どもができて、生まれて、それから、という本です。
25年前の作者を現在の作者が突っ込むという特典もございますが、それはさておき。
「伊藤比呂美という詩人を知らない人が読める」というところが値打ちで、鷗外なら「鴎外だ」、林芙美子なら「林芙美子だ!」って身構えてしまうところを、伊藤比呂美に際してはそういう気持ちの垣根をドカーンととっぱらって向こうからやってくる。
だから読む側もあんまり詩人が書いてんだ、ということを意識しないで、出産シーンの写真でオナニーしまくっただの、可能な限りはらんでいただのという文言をするする読むことが出来る。
ここが、すごいところです。
あたくし、昔から、ほとんどの自称詩人は役に立たぬと思っていますが、こうやって読む側に身構えさせない立ち居振る舞いというのは、ああまっこと伊藤比呂美は詩人ぜよ、と思うのです。思ってしまう。
なおかつ、25年も古びないのも、すげいのです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2013年7月4日
- 読了日 : 2013年7月4日
- 本棚登録日 : 2013年7月4日
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