疵と蜜 (キャラ文庫)

  • 徳間書店 (2015年3月27日発売)
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本棚登録 : 128
感想 : 12
4

▼あらすじ
幼い頃に両親を強盗に殺害された過去を持ち、いまでは派遣会社の若き青年社長となった里村。その陰には、里村の身体を担保に、無利子の貸し付けを引き受けた金融ローン会社の社長・長谷の存在があった。里村の美貌と身体に魅せられ、取り引きを始めて半年──
ある夜、二人は政治家のパーティーを訪れる。そこで里村は、両親を殺害した犯人と思しき男と衝撃の再会を果たし…!?

***

表紙の雰囲気とあらすじからして結構、重たい話なのかな?と思い覚悟を決めて読んだのですが、思ってたよりも読みやすいお話でした。
とりあえず、受けも攻めもまぁ〜大人げないこと大人げないこと(笑)
どっちも強気で負けず嫌いで意地っ張りで、「子供か!」っていう(笑)
そんな素直じゃない二人の攻防戦は見ていて面白かったですし、二人ともいつ本音を言うんだろう?と楽しみながら読んでいました。

ストーリーの方もサスペンス要素が入っている為、なかなか読み応えがあって面白かったのですが、幾つか残念な点があって、まず、犯人の件は長く引っ張った割に最後は「えっ、終わり!?」ってくらいあっさり片が付いてしまうのでやや不完全燃焼でした。
また、相手が犯人だという確証を得るべくこれまで積み重ねてきた苦労を自ら台無しにするような受けの向こう見ずな計画にも少しガッカリ。
だって普通、犯人だと確信している男の家に丸腰で上がり込みます??
家に上がり込んで追い詰めるのはまぁ良いとしても、丸腰はないと思うんですよねぇ…。
受けは説得すれば相手が自首すると思ってたみたいなので、本当に世間知らずの甘ちゃんなんだな…と思いました。
これじゃ命が幾つあっても足りないって…(笑)

案の定、逆上した犯人に追い詰められて絶体絶命のピンチに陥る受けですが、寸前のところで攻めを含む警官達に助けられ、その後、ようやく二人とも甘い感じになるんですね。この時の

「俺にしておけ。いろいろ不満はあるだろうが、俺はそう悪い物件じゃない。」

という攻めの傲慢な告白の端々にデレを感じて思わずキュンとしてしまいました。
(それでも相変わらず素直じゃなくて、受けに言い直しさせられてましたが 笑)
この後、攻めの家に受けがお持ち帰りされ、最後はめでたく恋人同士になりハッピーエンドです。犯人の処理の甘さには多少、不満を感じつつも読後感は悪くなく、思ってたより楽しめたので良かったです。
でも、まさか最後に剃毛プレイが待ち受けているとは思わなかったな…(笑)
因みに受けの浮気防止の為だそうで。攻めも意外と心配性みたいです(笑)

あとは脇キャラが良かったですね。青柳は作中でも特にキャラが立っていたので今後、スピンオフが出そうな予感。
お相手は野上でしょうが、挿絵で見た時に見た目が長谷とそっくりなので一瞬、「えっ!?」と頭が混乱しかけました。最早、兄弟レベル…(笑)
青柳は誘い受けらしいので、野上をどんな風にベッドに誘うのか気になるところ。
そんなこんなで脇キャラの活躍も含め、最後まで楽しめた作品でした。★は4.5で!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 整理済み(小説)
感想投稿日 : 2016年9月29日
読了日 : 2016年9月29日
本棚登録日 : 2016年7月7日

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