重たい本を読んで、少しげんなりしていたので、小休止的な位置づけで読み始めたのですが、予想以上に癒されました。
気分転換に日帰りの小旅行に出かけてきたみたいな読後感。
目を閉じるとさらさらと波が浜辺に打ち寄せる音が聞こえてくる気がします。
池澤夏樹先生の文章と世界観は児童文学として描かれた本作でもとても透き通っていて美しいのです。
ティオの目を通してみた島での出来事が10篇にまとめられて、その1つ1つが共鳴し合い、心地よいハーモニーを創り出しています。
『帰りたくなかった二人』が特に印象に残っています。
私たちの内側に秘められた願望がぶわーっと溢れ出しているみたい。
『絵はがき屋さん』で「大人になったときに、どうしても好きな人ができて、来て欲しくなったら投函」する手紙がどうなったのかが気になります。
全体的にファンタジーのような不思議な出来事が次々と起こるのに、自然と人が、都会よりも密接に結びつくこの島ではどういうわけかありのままに、さらりと受け止められるのはなんでだろう。
私もティオにこの島を案内してもらいたいなぁ。
《所持》
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ほんわかなごめるお話
- 感想投稿日 : 2009年12月2日
- 読了日 : 2009年12月2日
- 本棚登録日 : 2009年12月2日
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