あのベストセラー『挽歌』作家の晩年の小説。
ひさしぶりにグングン引き込まれたのは、構成力と筆力の確かさだと思う。
50代終りの女性と50代半ばのスペイン人男性との恋愛。
そうか、『挽歌』の怜子が蠟(老)熟して『聖母の鏡』の顕子(あきこ)に現れたのではなく、新生していたのだった、と。
それはそうだ。姉妹編というところもあるが、蠟熟というより、その芯のところは変わらなく、心の叫びを、繰り返しわがままと言えるまでに表現している。やはり『挽歌』があれだけ読まれたのには、うなづける作家の真髄。
1997年に上梓されているから、今流行りの「蠟熟女の叫び小説」の走りかとも。
この小説に描かれている情緒溢れるスペインの田舎村の情景が美しいこと!今でこそ、日本人も知っている気分になっているよね。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2023年
- 感想投稿日 : 2023年1月22日
- 読了日 : 2023年1月21日
- 本棚登録日 : 2023年1月22日
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