ブライトンは昔の熱海のようなところ、「ブライトン・ロック」はさしずめ金太郎飴と解説(三浦雅士)にある。そこで殺人事件が起こる。
主人公はピンキー、17才の少年、悪がき少年、その恋人となるはロ-ズ、16才。殺人の犯人として少年を追いかける美貌でグラマーな熟女(歌手?遊び人)アイダ・アーノルド。
殺されたのはチャールズ・へイルという男、どのように殺されたのか、何の理由で殺されたのか。それは問題ではない。歓楽地のさざめきのなかで悪徳が栄える。過去の因果が報いる。少年少女が大人になる。否、子どもに還る。帰りたい。
スリルとサスペンスといっても、形而上の課題豊富な文学作品。悪と愛。人間の存在とは。
登場人物が錯綜し、場面がパチッ、パチッと変るので最初と惑うが、入り込んでしまえば難しくなく、乾いたタッチがハードボイルド、いや以上だ。潮風と波の音が泣かせるぜ。さすが丸谷才一訳。
解説(三浦雅士)がやたらによかった!のがおまけ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2006年
- 感想投稿日 : 2021年9月8日
- 読了日 : 2006年12月11日
- 本棚登録日 : 2021年9月8日
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