ブライトン・ロック (ハヤカワepi文庫―グレアム・グリーン・セレクション)

  • 早川書房 (2006年6月23日発売)
3.52
  • (5)
  • (13)
  • (11)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 150
感想 : 12
3

ブライトンは昔の熱海のようなところ、「ブライトン・ロック」はさしずめ金太郎飴と解説(三浦雅士)にある。そこで殺人事件が起こる。

主人公はピンキー、17才の少年、悪がき少年、その恋人となるはロ-ズ、16才。殺人の犯人として少年を追いかける美貌でグラマーな熟女(歌手?遊び人)アイダ・アーノルド。

殺されたのはチャールズ・へイルという男、どのように殺されたのか、何の理由で殺されたのか。それは問題ではない。歓楽地のさざめきのなかで悪徳が栄える。過去の因果が報いる。少年少女が大人になる。否、子どもに還る。帰りたい。

スリルとサスペンスといっても、形而上の課題豊富な文学作品。悪と愛。人間の存在とは。

登場人物が錯綜し、場面がパチッ、パチッと変るので最初と惑うが、入り込んでしまえば難しくなく、乾いたタッチがハードボイルド、いや以上だ。潮風と波の音が泣かせるぜ。さすが丸谷才一訳。

解説(三浦雅士)がやたらによかった!のがおまけ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2006年
感想投稿日 : 2021年9月8日
読了日 : 2006年12月11日
本棚登録日 : 2021年9月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする