潮鳴り (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社 (2016年5月12日発売)
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感想 : 40
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時代と場所を江戸時代は九州の羽根藩に借りての、失敗人生を再生する物語です。

ゆえあって(友人が葉室さん好きなので)読みましたけど、そして最後まで読ませられましたが、
作者や作品が悪いのではなく、同じ作者をもう13冊も読むと飽きて感想はもういいかなと、
無精を決め込んで、感想と違うことを言おうかな。

*****

潮鳴りといえば
小学一年生の夏休み、海水浴に生まれて初めて連れて行ってもらった時のことを思い出します。
妹や弟はまだ幼児で、わたしひとり、父が連れっててくれました。

海岸は当時住んでいた名古屋から近い「富田浜(とみだはま)」というところ。
(今や、もう浜辺はなく埋め立てられてしまっていると思いますが)

白い砂、広い海、ざーん、ざーんの波音、人々の喧騒
海を意識したのが初めてでびっくりして、呆然とした記憶があります。

よしず張りの小屋も珍しく、そこから見る海のけしきのきれいなこと、
人々の様子のおもしろいこと、見飽きませんでした。

ひと泳ぎ、もとい、ひと浸かりして、母が作ってくれたおにぎりを食べてから、
磯臭い砂のざらざらのござで、昼寝する父のそばで絵を描きました。
(わたしの祖母がしまっておいたくれた)その時の絵日記が残っています。

役所勤めの父親、せっかくの日曜日をつぶして長女だけのためにしてくれたこと。
思い出を作ってくれた、若い父の姿が目に浮かびます。

そして帰りの混んだ電車のなかで日に焼けた背中を痛く思いながら、
ぐっすり眠ったしまったことをなつかしみます。

昭和23年夏、まだまだ戦後の混乱おさまらず、余暇が贅沢だった時代。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2016年
感想投稿日 : 2020年6月20日
読了日 : 2016年12月8日
本棚登録日 : 2020年6月20日

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