カラ売り屋 (講談社文庫)

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本棚登録 : 294
レビュー : 37
著者 :
sangoさん 経済小説   読み終わった 

黒木亮の作品はいくつか読んできたが、この中編四つにおいても本人の経歴が背景にある作品の魅力が抜きん出ている様に感じる。
それは、「カラ売り屋」と「エマージング屋」である。
日本人で外資系証券会社に勤務している人間の経歴としてカイロアメリカン大学卒業というのは、異色ではないだろうか。
アメリカやイギリスの大学ではなくエジプトの大学である。
だからこそ、中近東、アフリカの新興国を舞台にした作品に妙な説得力を感じるのだ。
カラ売り屋では西アフリカにおけるODA絡みの建設会社の話だ。読んでいると、地元の人間のアフリカ訛りのフランス語まで聞こえてきそうな地場の空気感すら感じる。
一方、エマージング屋ではサウジアラビアの淡水化プロジェクトシンジケートローンの組成が中心となる話だが、日本人で訪問が難しいサウジアラビアの都市の様子が克明に描かれていて、それだけでも興味深い。
かように、この作者はただの外資系投資銀行出身のエリートという訳ではなくて中近東アフリカという泥臭い空気を纏っている作家なのだ。

レビュー投稿日
2016年1月2日
読了日
2016年1月2日
本棚登録日
2016年1月2日
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