僕のダンナさん (宝島社文庫 『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)

  • 宝島社 (2012年9月6日発売)
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本棚登録 : 132
感想 : 18
4

珍しい(のかな?)男同士の恋愛もの。
こっち方面には明るくないが(^ ^;
いわゆる「BL」ってのとは違う。と思う(^ ^;

「頑固な大工」の父親が還暦を迎えて、
おめでたムードの中、いつまでも結婚しない息子と娘が
それぞれ「好きな人がいる」と言い出して。

30歳になるその息子が連れてきた恋人が、
男性だった...ということから始まる騒動。

激怒する父親、唖然とする母と妹。
まぁ、これはごく普通の反応なのでは。

家族の無理解、理解を示してくれる人、
言われなき誹謗中傷...
「カミングアウト」した日から、
主人公の生活は目まぐるしく変わっていく。

それでも、主人公と恋人の出会いから
お互いに惹かれ合っていく気持ち、
周りの目が冷たい分、強くなる二人の絆と
「少しでも長く一緒にいたい」という気持ちを、
作者は丁寧に、いつもの柔らかい大阪弁で紡ぐ。

二人の気持ちを読み進むうちに、
「相手が同性だってだけで、普通の恋愛じゃん」
ということに気がついてくる。

ただし、主人公たちの現実はそう単純ではない。
第二・第三の「事件」が持ち上がり、
一家は大きな嵐に揉まれているような日々。

それでも、100%理解は出来なくても、
心の底から許せると言えないかも知れなくても、
絆が全く切れてしまうということがない。
あぁ、いい家族だなぁ...という印象。

反対に、件の「恋人」は家族に恵まれず、
それだからこそ主人公に惹かれていったのか。

決して止めることの出来ない時の流れや、
何かを選ぶと言うことは何かを捨てること、
という人生の「あたりまえ」を、
ここまで共感させられる作品に仕上げる
作者の手腕はやはり並ではない。

自分の「家族」というものについても
思わず考えさせられるような一冊でした(- -

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心ほっこり
感想投稿日 : 2014年8月8日
読了日 : 2014年8月8日
本棚登録日 : 2014年8月4日

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