小説ヒミズ ver.Keiko Chazawa (KCノベルス)

  • 講談社 (2007年7月1日発売)
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本棚登録 : 45
感想 : 5
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講談社の同名のコミックのアナザーストーリィのノベライズ。主人公の中学3年 茶沢景子は家では明るいいい子、学校ではクールなオトナ。世の中に対して斜に構えて生きている。そんな彼女がなぜか同級生住田に異様に心を奪われる。彼だけを見つめ執着し追い続ける。少年住田は両親が離婚、母親とボート屋を営んでいるがあるとき母親がオトコと失踪。たった一人で誰にも助けを求めず生きていくことを決意する…この小説にあるのは絶望、絶望、そして絶望。住田を救うため罪を犯す夜野や自分自身を投げ出す景子。どうしてそこまでできるの?何を求めて何のために…個性の時代という。人と違ったことをすることをヨシとする。そういう時代の中で、ただ「普通であること」を求めているだけなのに。普通に生きていきたいと思っているだけなのに。住田に執着することで自分らしく生きていく道を見つけた景子の強さの元はナンなのだろう。深く色んな事を考えさせられる一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2008年2月23日
読了日 : 2008年2月23日
本棚登録日 : 2008年2月23日

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