読み始めてすぐ、「これってある意味ホラー(怖)」と震え始める。怖いぞ、これはすごく怖いぞ。
直木賞を欲してやまない作家の天羽カイン。売れっ子で出す本出す本ベストセラーになり、本屋大賞も受賞した。
けれどどうしても手に入らないのが直木賞。今度こそ、と誰もが太鼓判を押す自信作に大々的に待ち会を開いたのに…
担当編集にあたる、無理難題を突き付ける、なんだかどこかで聞いたことのあるよなないよな…
出てくる出版社も登場人物たちも、そのモデルに心当たりがあってニヤニヤしたり胸を傷めたり。
誰もが知っている直木賞だけれど、その発表までのあれこれをこれほど詳しく赤裸々に語られたのは初めてではないか。
物語を生み出す作家という人種の性、その作家に伴走する担当編集者。二人三脚で作り上げた作品が「賞」を手にするかどうか。
作家はなぜ小説を書くのか。なぜ「賞」を求めるのか。
パワハラ作家の直木賞渇望小説、という表の顔を通して、「小説」に魅せられそこにからめとられた人々の危うさと「賞」が人に与えるナニモノかを描く。
小説とは、賞とは。
誰かに必要とされる事、誰かに褒められること、誰かに認められること、それによって与えられる万能感は麻薬のようなものなのかも。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2025年1月
- 感想投稿日 : 2025年1月11日
- 読了日 : 2025年1月11日
- 本棚登録日 : 2025年1月11日
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