『ぼくイエ』で私たちに「無知であること」をたたきつけたカッコいいかあちゃんの連れ合いや、近所のおっさんやおばさんの人生はとても賑やかでカラフルで楽しくて、そしてちょっと悲しい。
若者でも老人でもなく、エリートでも最貧困層でもない。いわゆる労働者層としてイギリスのブライトンで暮らす彼らへの、愛に溢れるエッセイ。
日本の地方都市とは全く違う暮らしぶり。へぇー、とか、ほぉー、とかいちいち感心したりネットで調べたりしながら読みました。
「家族」とか「仕事」とか「政治」とか、そのひとつひとつが自分の生活圏内のそれと違っていて興味の塊になってしまいました。
ベビーブーマー世代のおっさんたちが、一生懸命働いて、目いっぱいお酒を飲んで、家族や友達とバカンスを楽しむその生活もうらやましくもあるけれど、一番うらやましいのは「仕事」を介さない付き合いがきちんと存在することでしょうか。
日本のおっさんたちは、仕事関係以外の友だちってあまりいないかもしれない。おばさんにしてみたらもっといないでしょう。そういう仲間との付き合いがあるから彼らの日々がとても鮮やかなのですね。
いろんなことに失敗して、家族を失ったり、仕事を失ったりしながらも、しぶとくたくましく今日も友だちと酒を飲んでるおっさん、おばさんのいきのいい人生から、ワイルドさを少しおすそ分けしてもらった気分です。
いやぁ、人生っていろいろあるから楽しいんですね。死ぬまで生きるぞ!
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2020年5月
- 感想投稿日 : 2020年6月2日
- 読了日 : 2020年6月2日
- 本棚登録日 : 2020年6月2日
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