これがノンフィクションでないなんて、本当に信じられない。
フィクションである、と頭でわかっていても読んでいる間中、これを書いたのは2001年にWTCから救い出された女性、美和子であり、この本の主人公は実在の女性フォトグラファー鳥飼茉莉江である、と思わずにはいられない。
戦争の炎の中から救い出された孤児茉莉江の人生は、そのまま日本の戦後の歴史であり、世界の戦争の歴史でもあった。
この世界にあるたくさんの争いと憎しみ、そこから生まれる虚しさと悲しさ。けれどそれが現実。
その悲しい現実から目を反らすことなく、ただまっすぐに記録し続ける、それがジャーナリストとしての「生」。
とても深く豊かで切実で壮大なこの物語がこの世に生み出されたことに心から感謝する。
読書状況:読み終わった
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2014年5月
- 感想投稿日 : 2014年5月14日
- 読了日 : 2014年5月14日
- 本棚登録日 : 2014年5月14日
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