i(アイ)

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本棚登録 : 3327
レビュー : 373
著者 :
べあべあべあさん 2016 年12月   読み終わった 

西加奈子には何度も打ちのめされてきた。何度も何度も心を打ちぬかれ、叩きのめされ、そしてしなやかで強い心を育てられてきた。だからもうちょっとやそっとじゃ打ちのめされない自信はあった。あるつもりだった。なのに、そんな自信はあっけなく崩れ去った。
いままでも「この本で救われる人がいるだろう」と思うような小説はたくさんあったけど、この「i」は「いるだろう」や「いればいいのに」ではなく、まちがいなく「救われる人がいる」そう確信する。
アイが自分自身の存在に、その養子になった境遇に、そして育った環境に、ずっと抱いていた違和感。自分が今、享受している幸せは、だれかほかの人から奪い取ったものなのではないかという思い、自分が本来受けるべき不幸から逃れてしまっているんじゃないか、という不安。
幼いころからそんな中で生きて来たアイの、その絶望の中の幸福が胸に刺さる。敏感で繊細で、そしてあまりにもまっすぐなそのこころが壊れてしまわないか、心配で不安で仕方がなかった。
そんな中での二つの出会い。ミナとユウ。2人がアイにもたらしたものは「自分の存在に対する絶対的な祝福を受け入れること」。自分が自分であること、今ここに生きていることの意味、そして
それを幸せだと素直に感じる素晴らしさ。
ラスト、海でアイは再び生まれた。新しい自分(I)が愛するすべてへの祝福とともに。
この圧倒的な力で迫って来る壮大なラストに、私もまた新しく生まれ変わった気がする。
「この世界にはIもアイも愛もある」

レビュー投稿日
2016年12月1日
読了日
2016年12月1日
本棚登録日
2016年12月1日
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