マシアス・ギリの失脚 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1996年6月1日発売)
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本棚登録 : 823
感想 : 64

大江健三郎風に言えば実に「たくらみ」「楽しみ」に満ちた大人のエンターテイメント小説だと思った。いや、スリルやサスペンスでこの作品に比肩するものを探すのはそう難しくないだろう。けれど架空の国と大統領に託して語られるのは政治が孕むきな臭さと老いの哀しみ(別の言い方をすれば「死すべき定め」にある人間存在の哀しみ)、そしてユーモアの三位一体だと思われる。登場人物たちが実に愛らしい。彼らは歴史の中のコマに過ぎない。誰一人永遠に名を残さない。それは私たちも同じだが、ならば彼らに倣ってままならない生を楽しもうではないか

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月19日
読了日 : 2022年9月19日
本棚登録日 : 2022年9月19日

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