大江健三郎風に言えば実に「たくらみ」「楽しみ」に満ちた大人のエンターテイメント小説だと思った。いや、スリルやサスペンスでこの作品に比肩するものを探すのはそう難しくないだろう。けれど架空の国と大統領に託して語られるのは政治が孕むきな臭さと老いの哀しみ(別の言い方をすれば「死すべき定め」にある人間存在の哀しみ)、そしてユーモアの三位一体だと思われる。登場人物たちが実に愛らしい。彼らは歴史の中のコマに過ぎない。誰一人永遠に名を残さない。それは私たちも同じだが、ならば彼らに倣ってままならない生を楽しもうではないか
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- 感想投稿日 : 2022年9月19日
- 読了日 : 2022年9月19日
- 本棚登録日 : 2022年9月19日
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