豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

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本棚登録 : 1960
レビュー : 196
著者 :
beautifulword09さん  未設定  読み終わった 

『この世には幸福の特権がないように、不幸の特権もないの。悲劇もなければ、天才もいません。
あなたの確信と夢の根拠は全部不合理なんです』

76歳になった本多は転生の神秘にとりつかれ
ジン・ジャンの生まれ変わりを賭け、安永透を養子に迎える。彼は美しい容姿と並外れた知能を持っていたが…

最初からテンポよく非常に面白いと思って読んでいたが、
透の冷酷さが過激化してくるにつれて不快な気持ちになった。清顕や勲の冷静さ冷酷さとは違い、
自分は選ばれた者と信じ、
自分以外の全てを愛することのない透。
本多は信じていた運命から
大きなしっぺがえしをくらうことになってしまった。

三島由紀夫の当初の『天人五衰』の構想メモとは
まったくかけ離れた結末になった。
この本を三島由紀夫の遺書として読むならば、
本多の老いの苦悩、
透の自尊と絶望、
『あなたは最初から偽物だったのよ』と言い放つ慶子の言葉…
全てが彼自身の彼に向けた言葉にも思えてくる。

考えさせられるシリーズだった。
いまもまだ考えている。

いつかまとめることができたらまたレビューを書き直そう、
とか思っているくらいです。

レビュー投稿日
2013年3月2日
読了日
2013年3月2日
本棚登録日
2013年3月2日
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