
興味本位のオカルト本ではありません。バチカン公認のエクソシスト、カンディッド神父を中心に、その活動の実際と、周辺の人々の証言で構成されたノンフィクションです。もちろん医学者や心理学者など、宗教関係者以外への取材もされています。
本書を読んで知ったのは、エクソシズムはオカルトとは無縁の、厳格な形式をもった祈りの儀式だということです。エクソシズムとは告解であり、人と向き合い、その心の声に耳を傾けること。エクソシズムの本質は魂の救済にありました。
悪魔という概念は、クリスチャンでない者にとっては理解しがたいものですが、悪魔憑きと呼ばれた瞬間から、人の苦悩は意味を持ち始めるという一文は印象的でした。
心とは何か?信仰とは何か?ということを深く考えさせられ、聖職者のあるべき姿に感動を覚える一冊でした。
- レビュー投稿日
- 2012年6月23日
- 読了日
- 2012年6月23日
- 本棚登録日
- 2012年6月23日
『エクソシストとの対話 (講談社文庫)』のレビューへのコメント
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