聊斎志異 (上) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1997年1月16日発売)
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本棚登録 : 511
感想 : 45
4

450ページを超す分厚さであり、多くの話は男が怪異に出会って恋に落ちたり成功したりのワンパターン。なのにおもしろくて、すいすい読んでしまった。グリム童話が面白いのと同じで、無意識がよろこぶ物語の原型があるのかもしれない。

たいてい主人公は生員(科挙の予備試験に受かった人)で、将来は開かれているけれどまだ何も成し遂げていない。そんなからっぽな彼がいっさいの紆余曲折を経ず絶世の美女といい中になったり、離れ離れになっても伏して泣いていると戻ってきてくれたり、まあ都合がいいんだけど楽しい。当時の人たち(いや蒲松齢がか)はこういう展開が気持ち良かったんだろうな、と思うとのんびりした気持ちになった。

今回いくつかの話は既読だったけれど、初読のときと同じように面白かった。昼寝を何回しても楽しいように、たぶん『聊斎志異』は何回読んでも楽しい。いろいろな編訳で出版されているので、そのときちょうどいい厚さの本を選んで読んだらいいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国 - 物語/小説
感想投稿日 : 2013年1月12日
読了日 : 2013年1月12日
本棚登録日 : 2013年1月12日

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コメント 2件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2013/04/01

「無意識がよろこぶ物語の原型が」
話の原型とも言える昔話って、願望と戒め、それから驚き等が絡み合ってると思うのですが、それらが巧くブレドされていますよね「聊斎志異」って、、、
誰の訳だったか忘れてしまいましたが、私が読んだのは角川文庫版で、井上洋介のイラストに惹かれて購入しました。

なつめさんのコメント
2013/04/01

岩波文庫は純中国風の挿絵でした。いろんなバージョンで楽しめるのがいいですよね。

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