セバスチャン・ナイトの真実の生涯 (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (1999年7月9日発売)
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本棚登録 : 177
感想 : 12
4

ナボコフを読むのは初めてなのだけれど、こんなにみずみずしくて人を引き付ける文章を書く人だったとは。お兄ちゃん大好きな弟の、最短距離を行かない不器用さと誠実さが胸にすっと入り込んでくる。

謎の女ニーナを追う旅と、断片的に挿入されるセバスチャンの著作紹介のどちらも目が離せない。物語の中で登場人物を補完するために参照される架空の本を、実際に読んでみたいと思ったのは初めてだった。どれもすごく面白そうなのだ。

セバスチャンの本の登場人物によく似た人が本編に現れたり、弟君がお兄ちゃんがはまった落とし穴に落ちかかったり、セバスチャンの人生・セバスチャンの書いた物語、弟君の人生・弟君が書いた(という設定の)本編が相互に反射するような構成になっている。物語が終わるとき、弟君はどこへ行ってしまうんだろう、弟君の現実に戻れるんだろうか、と不安な雰囲気がただよう。愛情過多の哀しさというか。

しかしニーナはほんとに怖いというか迷惑な女だったよ...

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英米 - 小説/物語
感想投稿日 : 2012年1月6日
読了日 : 2012年1月3日
本棚登録日 : 2012年1月6日

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