
歌のような文章で、直接脳を触られるようななまなましい本。
要介護状態の両親、わかりあえない夫、助けを求める娘、すべてを背中にしょって、カリフォルニアと熊本を往復する暮らし。女の50代とはかくもハードなものなのかとため息が出なくもない。けれど、この本が発しているのは、止まらない生命力とか、厳しい状況でも楽しみを得るしぶとさとか、あきらめつつも今やるべきことをやる開き直り感だ。
親の介護や夫との不和の可能性について心の準備ができるわけではないのだけれど、今の自分にちょっとエネルギーが充てんされるような本。
それにしても作者は頭と体の配線が太い人だ。常に最短距離を狙うわたしの何十倍も人生を生きているんだろうな。これからも遠くから拝ませてもらおう。
- レビュー投稿日
- 2011年7月3日
- 読了日
- 2011年7月3日
- 本棚登録日
- 2011年7月3日
『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 (講談社文庫)』のレビューへのコメント
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