手持ちの駒でなんとか生きていこうとするヒロインの、だからこその認知の歪みや性急さ、痛みから回復しようとする一人ぼっちの格闘が、悲しいような愛しいようなでぐんぐん読んでしまった。少女漫画雑誌の来月号の、お気に入りの連載を待つような気持ちといったらわかるだろうか。
最終的にあのようにルーシーは回想できたのであって、それなら彼女はやりとげたのだからよいのだ。あとで失われたとしても確かに存在したものが、その後の数十年を支えたということ。ただしルーシーは信頼できない語り手だから、あの後結婚して子どもが生まれちゃったりしているかもしれない。
ルーシーの相手は自分だったらちょっと願い下げな人物だけれど、彼女がいちばん彼女らしくふるまえたのはあの人に対してだったのでしかたなし。でもなんであの口調なのか... 新訳で読んだらイメージが変わりそう、というか変わってほしい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
英米 - 小説/物語
- 感想投稿日 : 2020年1月11日
- 読了日 : 2020年1月8日
- 本棚登録日 : 2020年1月11日
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