樫の茂る丘へ―アメリカ昔語り

  • 近代文芸社
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感想 : 1
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発表時には2冊だった随筆の合本。巻頭に翻訳者によるアンダーソンと作品の解説付き(読点と主語が少なく読みづらいので他の資料があれば読まなくてもいいかも)

「現代の作家」:エンタメ小説批判。人の生とはきれいに起承転結がつくものではないでしょ、というのがアンダーソンの主張。でもアンダーソンはときどきほんとうに状況のスケッチ以上に思えない短編を書くので、あんまり賛同する気持ちにもならないのだった。

当事者自身がなんとか筋道をたててオチをつけないと前に進めないことがある。実際のところはわからなくても、少なくともその人がなんとかして手に入れた真実を提示するフィクションは価値があると思うし、わりと放りっぱなしにするアンダーソン先生はもうちょっとそこ頑張ろうね、という気持ち。

「故郷の町」:100年前のアメリカの田舎の町のスケッチ。わりと日本の田舎の町と変わらない。みんながみんなを知っているから、ケンカしても仲直りしないと暮らしていけない町。アンダーソンのフィクションは重苦しいのが多いけれど、随筆は明るくてのんびりしているのが意外だった。誰のことも糾弾していない。ただ、あまりにもそのままに書いてあるので、味気ないといえば味気ない。何も書いていない系随筆であるなら文体に魅力がないとつらいのだが、本書の文章はあまり趣がない。井伏鱒二が訳していたら、ちがっていたかもわからない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英米 - 評論/エッセイ/随筆
感想投稿日 : 2018年11月7日
読了日 : 2018年11月7日
本棚登録日 : 2018年11月7日

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