寝盗る女 (下) (カナダの文学 10‐2)

  • 彩流社 (2001年9月4日発売)
本で見る
3.71
  • (1)
  • (3)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 23
感想 : 2
3

上巻から続く3人の女たちの居心地の悪い子供時代の話を読むという苦行をこなし、さあもうお膳立ては全部そろったから解決篇をお願いします!となったところであっけない幕切れ。ねえねえそこを説明しないんだったらなんで3人の人生を子供時代にさかのぼって読まされなきゃならなかったのよ、という気持ちになった。ヴィランに理由なくていいなら3人の不運にも理由なくていいよ。子供が辛い目に遭う話はいやなんだ。

「そんなことってあるんだろうか」って思ったのは、3人とも、夫/恋人に対する戦略が「我慢する」「癒す」しかないこと。3人は大学時代同じ女子寮にいた以外の共通点はなくて、境遇も嗜好もぜんぜん違うのに、男にはまるっきり同じ態度を取る。それでもってひたすら我慢したって終わるときは終わるのに、終わったことさえ自分の責任にしてしまう。「そういうとこだぞ」って話である。半分ずつでいいだろそこ。ズィー二アが天災なのならパートナーとの別れも天災でいいだろ。でも、そういう無邪気さにズィー二アはつけ入るということなのかもしれない。妖怪ですね。

もう一つ引っかかったのは、女は悪党でも人の家庭を壊す程度のことしかできないのかなということ? 組織をつぶせ、国家を転覆しろ。

ということで辛くて面白い読書でしたが読後感は不満。なんだか設計が自分向きじゃなかった。だれかもうちょっと胸のすく話を書いてください。寝盗る方も寝盗られる方もかっこいいやつ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英米 - 小説/物語
感想投稿日 : 2021年3月13日
読了日 : 2021年3月13日
本棚登録日 : 2021年3月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする