「ホロコーストの証人たちへの思い」が執筆の動機のひとつになったという本作。生真面目な家族の歴史物かもしれないけれど『 空中スキップ 』がヘンテコでよかったし念のため、と手に取ったところ、 意外にもと言うべきか期待にたがわずと言うべきか、『 空中スキップ 』 にみられた奔放で意地悪な奇想力が長編の本作でも存分に発揮されていて、とてもよかった。
たいていの一族の年代記ものに感じられる前向きさがあきれるほどない。ただただ女たちの系譜が続き、繁栄する感じが全然ないのがすごい。恐ろしい旧世界からの移民である初代が多少極端な人物であるのは理解できるけれど、新世界でのびのび育つのかと思った 二代目三代目が どんどんねじけていくのは気持ち悪いというかどうしてこうなったというか。バドニッツの意地悪さがすばらしい。
男を見る眼がないという一族の性質を受け継ぎつつも、外部に開かれている様子の四代目が結末に明るさを与えている。でも彼女が「ややまし」なのは、母親が溺愛する兄を持たなかったからかも。母娘って難しい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
英米 - 小説/物語
- 感想投稿日 : 2013年1月22日
- 読了日 : 2013年1月21日
- 本棚登録日 : 2013年1月22日
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コメント 2件
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2013/02/18
なつめさんのコメント
2013/02/18