調律師の恋

  • 角川書店 (2003年7月31日発売)
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本棚登録 : 50
感想 : 10
4

原題は"The Piano Tuner"なのに、邦題に「恋」がついてしまっているため、恋愛小説?と先入観を持ってしまう。
実際は、旅行記のような冒険小説のようなサスペンスのような、不思議な魅力のある小説でした。

1886年、ロンドンに暮らす調律師、エドガーのもとに、イギリス領ビルマへピアノの調律をしに行ってほしい、という陸軍からの依頼がある。
いまだ平定にいたっていない混迷の地になぜピアノが運ばれたのか?そしてわざわざ調律師が呼ばれたのか?
愛する妻を残し、エドガーはビルマへと向かう。

内向的で繊細なエドガーが、見慣れぬ風景や異文化に出会ったときの、新鮮な驚きと純粋な好奇心が、物語全体に瑞々しい空気を吹き込んでいます。
そこに徐々に穏やかならざる空気が織り込まれていくあたり、なかなか上質な読み味。
「こんな映画ありそう」という感じの小説です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外の小説
感想投稿日 : 2014年2月20日
読了日 : 2014年2月19日
本棚登録日 : 2014年2月6日

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