へえ、江國香織ってこんな話も書くんだ、と思わされた小説。
冒険譚であり、半ファンタジーであり、という感じ。
ある日、栞(しおり)のもとに隣に住む男の子が飼っていたヤドカリを探しにやってくる。
その時から少しずつ、栞が自分なりに築いてきた、温かな、でも、どこにも行きようがない世界が動き始める。
大好きな兄、そして、その美しい妻の失踪。
兄の妻と名乗る別の女。
そして、ずっと年上の、兄の愛人。
誰もが何かを探している。
そして栞も――というお話。
しっかりと現実(リアル)に軸足をおきつつも、なんの不自然さもなく、軽やかに現れる別の世界。
「ねじまき鳥クロニクル」の江國版、と言えなくもない。
いわゆる江國っぽい感じを求めて手に取ると、違和感を感じるだろうな。
ただ、この人がよく使う「甘やかな」という言葉にちょっと抵抗がある身としては(この小説でも使われているけど)、いい意味で裏切られた感じがして高評価です。
こんな感じの話、もっと読んでみたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年2月28日
- 読了日 : 2011年2月25日
- 本棚登録日 : 2011年2月22日
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