ジェームス・ディーンに似ていた (角川文庫 緑 646-7)

著者 :
  • KADOKAWA (1988年3月1日発売)
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喜多嶋 隆の【ジェームス・ディーンに、似ていた】を読んだ。

18歳の主人公、涼川万理は、単身アメリカに渡り、ジェームス・ディーンに似ている男ジミーと恋に落

ちた。だが、ジミーは交通事故で死んでしまう。ジェームス・ディーンと同じ24歳での死だった。

物語は万理が日本に帰国したところから始まる。ひょんなことから「グリーンベレー」という自転車バイ

ク便の仕事をすることになった万理。アメリカに渡る前に色々と因縁のあったバイクチームのボス原田と

のいざこざや、原田がつくったバイク便会社「黒虎便(ブラック・タイガー)」と「グリーンベレー」と

のいざこざを乗り越える中でジミーを回想し、それをも乗り越える中で自分の人生を前に進めていくとい

うストーリーだ。

正直に言って抜群に凄い作品とは思えなかった。ダメだという意味ではなくて、物足りないという感じ。

ちょいと内容が幼稚すぎた。

万理とジミーの悲しい恋物語までは良かった。だが、物語のメインとなる日本での「黒虎便」との争いが

なんとも幼稚に感じてしまう。

なんだろな、「!」とか「・・・」が多すぎる文体だからかもしれないが、安っぽく見えてしまう。

キャラクターの設定がなんとなくいまいち。なんとなくすべてにおいて中途半端な感じがした。

最後にチキンレースをやるシーンがあるのだが、せっかく回想シーンでジミーがチキンレースの極意を万

理に教えるシーンがあるのだから、そのあたりの絡みをもっと出せば味のあるシーンになったと思う。

ジミーとの物語と日本での出来事がまったく別次元で進み、そのまま終わるので盛り上がりに欠けてしま

っている感が否めないのだ。

しかし、喜多嶋氏は調べてみるとなかなか人気の高い人物でファンサイトも多い。

僕はこの1冊しか読んでいないからファンの方々からみれば「わかっていない」と言われるだろうが、読

んだタイミングが悪かったのかな。

最近は、姫野カオルコ、阿刀田高、村上春樹と読んで来たから目が肥えてきてるのかな。

この作品も悪くはないのだけれど、じゃあ他の作品も、とまでは心が動かなかった。

好みの問題かもしれないけど。

何度も言うがこの作品は万理とジミーの恋物語まではよかった。いかんせん黒虎便がいただけない。

でも、喜多嶋氏の独特の文体(とても短い文章を改行、改行でつなげる)を好きだという人の気持ちはわ

からないでもない。それはそれで読みやすく、リズム感がいい。

ただ黒虎便がなぁ・・・。  以上。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 男性作家
感想投稿日 : 2009年7月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2009年7月27日

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