前作のマボロシの鳥では、何かのオマージュ短編で構成され、全体として何か物足りないものを感じた。
だが、今回の文明の子では、ちりじりにみえる短編が、ある大きな物語として展開していることに違いがある。
私たちがつくりあげてきたこの世界を、終わらせるのか、それとも続けるのか、問うことからこの物語は始まる。文明は破壊され、そして次に繋ぐことの意味を最後には訴える。文明を光のようにとらえることによって、この世界を強く肯定する。そのことに強く心打たれた。今、見えている星の光のその星は存在しないかもしれない、という言葉をくつがえし、いま、見ている星の光は永遠に続いてゆくことの美しさに焦点を当てる。美しい作品だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年1月26日
- 読了日 : 2012年1月26日
- 本棚登録日 : 2012年1月23日
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