永遠の0 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年7月15日発売)
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本棚登録 : 49728
感想 : 5851
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 最近、戦闘機とか軍艦とか空母とか軍服とかそういうものに興味がある。…戦争に関係するものに興味を持つのはなんか不謹慎というかなんというか、今までちょっと気が引けるな、と思っていた。それでも興味を持ったんだから、いろいろと歴史を調べたり、関連の書籍を読んでみたいと思う。今はまずは知らないと、という気持ちが強い。
 この本は、友人がすごく面白い、とすすめてくれた。零戦の話だよ、と聞いて、丁度興味を持ちだした時期だったので、即購入。読み始めるのは卒論終わってからになってしまいましたが…。そして、つい最近読み終わった。
 宮部久蔵という戦闘機乗りの姿を思い浮かべるとき、私はなぜか後ろ姿を思い浮かべる。飛行機乗りのあの服を着て戦闘機に向かう後ろ姿。そんなイメージが浮かぶ。静かな後ろ姿。宮部久蔵が死ぬというのは読み始めた時から分かっているからこそ、死ぬとは思えない技術の高い戦いぶりで戦っている宮部久蔵から、私はずっと死の匂いを感じていた。柔らかで静かな、悲しい死の匂いだ。
 生き残るために戦う。生きるために戦う。必ず生きて帰る。臆病者とののしられても、信念を変えなかった男が特攻に行くまでを戦友たちの話を孫が聞きながら明らかにする。まるで、本当に戦った男たちの話を聞いている気分になった。その話は間違いなく戦争の話で、人の命のやり取りの話だ。それなのに、誤解を恐れずに言えばどうしてか心を湧き立たせる部分があった。空と海。やはりそれが大きいのだろうと思う。
 現代の若者が戦友に話を聞きに行く、という形式をとっているので、読者が分からないであろうことは、話を聞きに行く主人公の疑問という形で登場する。そのおかげで、戦闘機や空戦のことなどが分からなくても、きちんと説明してくれるので話に入っていきやすい点も魅力的だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・現代作家
感想投稿日 : 2013年2月13日
読了日 : 2013年2月13日
本棚登録日 : 2013年2月13日

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