しろいろの街の、その骨の体温の (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2015年7月7日発売)
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感想 : 411
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小、中学生の過酷で残酷な人間関係と、心境の変化を丹念に描いた作品。
特に、中学生がスクールカーストに支配されて、上下をつけられて、そのランク相応に行動することを強いられる、という状況を鋭く丁寧に描いていて、読んでいて痛く苦しい気持ちになった。
読みたくない、でも続きが読みたい…という葛藤に追い立てられるように読んだ。

私は子供の頃主人公よりももっと下のランク(信子ちゃんや馬掘さんに近い)にいたので、正直主人公でさえもキラキラして見えて、うらやましい青春…と思えた。
小4のときにクラスの中心メンバーだった男子にいじめられた経験もあるので、伊吹くんのような男の子なんているのかな?と思ってしまったりもした。

でも、最後まで読んだら、霧が晴れたような気持ちになった。
カーストのどの位置にいたとしても、それぞれの苦しさがあるんだと思ったし、でもそんなカースト内のランクなんて本当はどうでも良いんだ、とも思った。
それぞれ自分の醜さと美しさを持っていて、それは誰に支配されるものではないから、思い切り表現して良いんだよ、と言われた気がした。

信子ちゃんを美しい、と言ってくれる主人公が、作者が、本当に嬉しくて、私は救われた気持ちになった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年8月11日
読了日 : 2015年8月11日
本棚登録日 : 2015年8月11日

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