・地球温暖化の原因が炭酸ガス(二酸化炭素)であるという定説に対し、本書は、温暖化の原因の大部分は地球の自然変動(小氷河期からの回復)よるものではないかとして反論する。
・自然変動がまだ十分に解明されていない現時点において温暖化の原因を炭酸ガスただ一つに収斂させてしまうことの危険性を指摘するとともに、あまりにも政治的色彩を帯びすぎて歪んでしまった地球温暖化をめぐる学問のあり方に警鐘を鳴らす。
・それは同時に、単なる一つの仮説にすぎないものが、学問上の正規な手続きを踏まれることなく、センセーショナルな報道によって「異論を許さない事実」となってしまう、この社会のあり方への批判でもあるだろう。
・著者は、日本にとって喫緊の課題は温暖化対策などではなく食糧とエネルギーの安定確保だと言う。しかしながら、本書の出版が3.11以前であるとはいえ、何の留保もなしに「より安全な原子力発電」「安全な原子力エネルギー」(p174)と形容している点はいただけない。著者ほどの世界的知性でさえ原発安全神話から自由でなかったということは残念でならない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
サイエンス
- 感想投稿日 : 2013年7月16日
- 読了日 : 2013年7月16日
- 本棚登録日 : 2013年7月16日
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