泣き所はいくつかあったけど、舜が喜美子を見送る場面が最もグッときて、涙が滴り落ちるのを止められなかった。
舜は喜美子に憎まれ口を叩くのが常だったけど、舜にとって喜美子が最も大事な人だというのが、バスの見送り場面でよく分かった。
―「もうさすらっちゃ駄目だ。定住しろ。」「ジュニアから離れちゃだめだ」―
彼は子供のようで、いつの間にかすっかり大人になり、先を見据えていたのだろう。そして、喜美子の幸せを誰よりも願っていたのかも知れない。
それはかつて、喜美子が舜に抱いていた気持ちのように。
物語だから、巧く出来すぎている部分もあるかも知れないけど、それはそれ。
勝利の口車に乗せられたままでなく、思い止まり、紆余曲折ありながらも喜美子と哲司が一緒になることが出来て良かったと嬉しかった。
喜美子が幸せを掴んだことが、個人的には心底嬉しかった。
小説でこんなに泣いたのは初めてかも知れない。
心が疲れ気味な方には、特にお勧めしたい作品である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年1月9日
- 読了日 : 2013年12月26日
- 本棚登録日 : 2013年12月21日
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