羊と鋼の森 (文春文庫)

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本棚登録 : 5975
レビュー : 638
著者 :
彩花さん 宮下奈都   読み終わった 

文庫出版待ちをしていた1冊。
待った甲斐がありました。数時間であっという間に読了。
心穏やかに幸せな気持ちになれるお話しでした。

日ごろから人の記憶には、視覚・聴覚・嗅覚がとても影響していると思っています。
例えば懐かしい音楽を聴くとそれを聞いていた時の思い出が鮮明に蘇ったり、夕立の後の匂いを嗅ぐと小学生の頃の夏休みを思い出したり・・・。
きっと誰にでも経験のあるこういう体験をもっとぎゅっと凝縮し全身・全心で感じているのが主人公の外村くんなんだと思います。

「調律師」という職業は、ピアノに関わったことのない人にとってはきっと馴染みが薄いかと思いますが、私は10代のころ、妹とピアノを習っていました。そして今は姪っ子たちが習っています。家にも年に一度、調律師の方に来ていただいていますので、調律師という職業のことも、調律していただくことによってピアノの音が全く変わることも知っています。そしてやはり担当していただく方によって音が別物になることも。
いつも同じ方に来ていただくようにしていますが、ある年、都合がつかずべつの方に来ていただいたときは、やはり音に違和感が出てしまって弾きずらかったことをよく覚えています。
私でさえそんなことを感じるのですから、ピアニストの方にとって「調律」は相当重要なことなんだろうなって思います。

いつも我が家に来ていただいていた調律師の方は、とても物腰が柔らかく穏やかな方でした。ピアノの調律をするという作業に興味があってよく見学していましたが、今思えばかなり邪魔だったんだろうなって思います(笑)

この物語の中には激しいイベントは出てきませんが、静かに流れていく時間のなかで、しっかりと目標を持ち、そこに向かって「こつこつ」と努力をしながら人生を歩いてゆく大切さを教えてくれているような気がしました。

読み終えた後、心が優しさで満たされました。
ぜひ、多くの方に読んでいただきたい1冊です。

レビュー投稿日
2018年5月6日
読了日
2018年5月5日
本棚登録日
2018年5月3日
9
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