瓶詰地獄

3.48
  • (14)
  • (26)
  • (36)
  • (5)
  • (4)
本棚登録 : 278
レビュー : 31
著者 :
b0b0z0818さん  未設定  未設定

作者は夢野久作。この作品は3通の手紙を通して成り立つ3部形式の物語となっている。雑誌「猟奇」〈1928(昭和3)年10月〉で「瓶詰」として初出後、何度か改稿を繰り返した後に現在の題名である「瓶詰地獄」に変更された。
物語は3通の手紙を通して展開していく。幼い頃に遭難した二人の兄妹が話の主人公として登場し、語りは主に兄の「私」、「市原太郎」である。妹の名前は「アヤコ」。第1通目の手紙では助けに来た船に乗った両親を見ながら身投げすること、それに対する両親への謝罪が綴られている。第2通目の手紙では自分たち兄妹が遭難してからどのように暮らして来たか、成長するにつれお互いを男女として意識せざるを得なくなってしまった事への懺悔が綴られている。第3通目の手紙では自分たち兄妹が遭難した先の島で元気に暮らしている、早く助けに来てほしいとの文面が全文片仮名で綴られている。
まず3通目は全文が片仮名で書いてある事から、まだ読み書きが拙い頃に書いたものではないかと推察できる。2通目では兄弟が成長し、聖書を通して読み書きも十分にできるようになっている事が伺える。この頃になると2人はお互いを男女として意識し始める。無邪気なアヤコの言動に太郎は苦悩する事となる。1通目の時点で兄妹は既に男女の関係になってしまい、それを苦にして身投げをするに至ったのではないかと考察した。手紙の中で両親がこちらに手を振っている描写が存在しているが遭難から経過した年月や届いていない瓶を見るに、これは兄妹の幻覚であると言えるのではないだろうか。このことから手紙の正しい順番は3通目→2通目→1通目となる。
以上より、読めば読むほど混乱を極めるのがこの物語のミソであり、読者の分だけ捉え方の変わる作品である「瓶詰地獄」は読みがごたえのある非常に面白い作品と言えるだろう。

レビュー投稿日
2020年1月29日
本棚登録日
2020年1月29日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『瓶詰地獄』のレビューをもっとみる

『瓶詰地獄』のレビューへのコメント

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする