芥川賞を取らなかった名作たち (朝日新書 158)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2009年1月13日発売)
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感想 : 18
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取り上げられている12作品中、読んだことがあったのは「いのちの初夜」だけ…。ああ、情けなや。
やはり私自身非常に感銘を受けた作品だったのと、そもそも「いのちの初夜」を読むきっかけになった書評本から北条民雄に関わるいくつかの知識があったので、その章はイメージが湧きやすかった。
選評や、ここで言われていることなど、受賞には至らなかったものの高く評価されていたこと、また彼の現状に配慮した措置がいろいろとられていたことが、妙にうれしかった。

それ以外の作品も非常に興味深く、読んでみたくなったものがたくさんあった。選評にも、選考した作家の文学的傾向とか背景とか、いろいろなものが見え隠れする、というのがまた面白い視点だ。

ただ一番驚いたのは、錚々たる選考委員の選評に、佐伯氏が忌憚のない意見をズバズバと言っていること。否定したり、わからない、と切り捨ててみたり、遠慮がない。
もちろん、全面的に同意しているものもたくさんあるのだが。

太宰治「逆行」
北条民雄「いのちの初夜」
木山捷平「河骨」
小山清「をぢさんの話」
洲之内徹「棗の木の下」
小沼丹「村のエトランジェ」
山川方夫「海岸公園」
吉村昭「透明標本」
萩原葉子「天上の花―三好達治抄―」
森内俊雄「幼き者は驢馬に乗って」
島田雅彦「優しいサヨクのための嬉遊曲」
干刈あがた「ウホッホ探検隊」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説以外(エッセイ・ノンフィクションなど)
感想投稿日 : 2011年8月9日
読了日 : 2011年8月9日
本棚登録日 : 2011年8月8日

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