子供の頃、流行歌を聴いてこれは自分のことを歌っていると勝手に決め込んでは、これまた勝手に励まされたりあり悲劇のヒーロー・ヒロインになったつもりになる、そんな経験が多くの人にあると思いますが、Salingerはそれに近い若者の共感するモノを提供した人ではないでしょうか。思えば、20そこそこでこれを読んだときは、「これはいい」と思ったが何度も何度も読むかと言えば、多分読まない。そういう本は価値が低いかと言えば決してそうではない。近現代の青年(男も女も)の多くが一度は通る道、そういう普遍的な不安定さとかふて腐れとか甘えが小気味よく描き出されている。
これは一つの家族を取り巻く話だが、アメリカのAmbivalenceを描き出しているとも言える。それは、Salingerの話に必ずと言っていいほどでてくる、保守的な抑圧的なものと幼くも自由とか独立を闇雲に目指す志すもの達を内包している(かつての豊かな)アメリカ社会を映し出しているとも言える。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
洋書・小説
- 感想投稿日 : 2007年4月13日
- 読了日 : 2007年4月13日
- 本棚登録日 : 2007年4月13日
みんなの感想をみる