ラッセル『幸福論』 2017年11月 (100分 de 名著)

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レビュー : 9
制作 : 小川仁志 
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・「無視」や「避けられない不幸は諦める」や「バランスこそ幸福の条件」などかなり現代的な思想。
・「幸福な人とは、客観的な生き方をして、興味と愛情を外に向けて広げる人。」

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(A) 何が人びとを不幸にするのか
ラッセルはまず、総論として、不幸の最大の原因として「自己没頭」を掲げている。

①罪びと
罪の意識にとりつかれた人のことであり、実際に罪を犯した罪人という意味ではない

②ナルシスト
自分自身を賛美し、人からも賛美されたいと願う習慣を持つ人

③誇大妄想協
魅力的であることよりも権力を持つことを望み、愛されるよりも恐れられることを求める人


(B) 不幸の具体的原因

①バイロン風の不幸
理性によって厭世的になってしまうこと。一言で言うとペシミズム(悲観主義)である。自分で勝手に不幸な世界観をつくり、そこに閉じこもろうとしている。

②競争
成功は幸福の一つの要素でしかない。そのために他のすべての要素を犠牲にしてしまっては、決して幸福になれない

③退屈と興奮
「多すぎる興奮に慣れっこになった人は、コショウを病的にほしがる人に似ている」。幸福になるためには、ある程度退屈に耐える力を養う必要がある。

④疲れ
体の疲れは休めばすぐに回復する。運動による体の疲れはむしろ幸福感さえ生み出すだろう。心配からくる疲れこそ、人を不幸にする元凶である。

⑤ねたみ
ねたみが人を不幸にするのは、「自分の持っているものから喜びを引き出すかわりに、他人が持っているものから苦しみを引き出している」からだ

⑥罪の意識
罪の意識は子どもの頃に形成され、大人になってからも人を縛るものであり、「おとなの生活の不幸の根底にある心理的な原因」である。

⑦被害妄想
周りが同情してもしなくても、自分が被害者だという思いをどんどん強めていく。「万人が自分を虐待していると感じているかぎり、幸福になることはまるで不可能だ」

⑧世評に対するおびえ
自分が人にどう思われているかを気にするということである。「批評というものは、世評に無関心な人びとよりも、はっきりと世評をこわがっている人々に対して、つねにいっそう暴虐である」

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・人は熱中すると幸福になれる。たとえば、科学者。
・困難だが実現できないわけではない目標を持っている者は幸福。たとえば、社会の改革に身を投じる若者。
・趣味に熱中すると幸福。たとえば、切手収集。

まとめると、幸福の秘訣は、興味を幅広くすること。対象に敵意を持つのではなくて、良いところを見る。

■幸福の源
「熱意、愛情、家族、仕事、私心のない興味、努力とあきらめ」
・熱意は、自分の内側ではなく外に向けるべし。熱意にはバランスが大切。熱意が行き過ぎないために、健康、能力、収入、家族への義務を損なわないように気をつける。
・愛情→自信→安心感。相互的な愛情が重要。
・家族では、親子の愛情が基本。親子相互に尊敬の念を持つ。
・仕事を面白くする。技術を向上させることで仕事を楽しめる。何かを作り上げることで仕事を楽しめる。
・私心のない興味とは趣味のこと。趣味は、気晴らしになるし、釣り合いの感覚を保つのに役に立つ(見える世界が狭くならない)し、悲しみを癒すのに役立つ。
・幸福には努力が必要。その一方で、避けられない不幸は諦める。絶望に根ざす諦めは良くないが、不屈の希望に根ざす諦めは良い。

レビュー投稿日
2018年7月24日
本棚登録日
2018年7月24日
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