前2巻とはすこし趣が変わって国際謀略小説風味になる。新たな事実が明かされ、プロットはますますこみいってくる。
特にイギリス外務省を描いた部分が他よりもリアルで散文調だと思ったら、ダレルは実際に外交官をやっていた時期があった。まさにパースウォーデンだ。
パースウォーデンがメリッサから秘密を聞かされるところが印象深い。それまで神秘的ですらあったメリッサが急に下卑て見えてくる。夢から醒めたような感じが出ている。街灯に照らされて現れては隠れる二人の影にマスキリンを見出す。次の章に入ると、もうマウントオリーヴがパースウォーデンの死を知らされるシーン。鮮やかな場面転換。
読書状況:読み終わった
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本・雑誌
- 感想投稿日 : 2018年11月5日
- 読了日 : 2012年4月13日
- 本棚登録日 : 2018年11月5日
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