Goodnight Moon

  • HarperCollins (2007年1月23日発売)
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本棚登録 : 179
感想 : 24
5

子供にとって「存在」とはこうであっただろうと思い起こさせる作品。

「おやすみ」と声をかける対象が「私が存在していない方の世界(nobody)」や「全ての場所に存在するノイズ」といった現象にまで及んでしまうあの永劫回帰的な感覚が強烈に迫ってくる。
また「おやすみ」と声をかける対象が「静かに」と囁いた(囁き続ける)ウサギのご年配、といった「瞬間の概念的切片と永劫性の諸問題を含む観念の取得」の過程にまで及んでしまうあの原始の中の思考感覚が強烈に迫ってくる。

かつての私たちにとって(nobodyを含めた)存在の全ては等価であり、すなわち「全ては存在」であり、私たちに境目はなかった。今もこれからもそうには違いないが、今の私たちは複数のリアルを切り替えて生きなければならない世界に居る。

存在の根源から切り離されて、突然始まった「世界」が、ゴソゴソとベッドの中で態勢を変え続ける子ウサギと、やがて訪れる闇の静寂、おそらく私が始まる前に似た場所、に投影される。

地味に凄まじい本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年4月13日
読了日 : 2015年4月10日
本棚登録日 : 2015年4月10日

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