怪奇小説精華―世界幻想文学大全 (ちくま文庫)

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本棚登録 : 178
レビュー : 14
制作 : 東雅夫 
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「嘘好き、または懐疑者」ルキアノス
子供や老人であるということも才能の一つであるなどと思えたのなら、著者はゲーテも憧れるアーティストで済んだのだろうが本人が風刺家でありたいのなら仕方ない。才能というぬるま湯の心地よさと、それを受け入れ難い気持ちとを等価に捉えなおすことで己を創造せんとする在り方に居たいものの、あまりうまくいっていない思いが率直に見える表題。

「石清虚/竜肉/小猟犬」蒲松齢
人が神を完璧に理解している様子が描かれている稀有な作品。怪奇達は皆親切で健気で自由で可愛らしく、常に厳格なルールの下にあることによって余すところなく神性を表現する。
老人の神様は駄々をこねる主人公に最初からあげるつもりだった石をくれ、竜は本当に食べたい人だけにこっそり己の切り身をくれ、小さい人たちは勉強に集中したい主人公のために軍を出動させて虫を追い払ってくれ、そして例のお方はソドムとゴモラの良民のリミットを言うだけ下げてくれる。

「ヴィール夫人の亡霊」デフォー
作者が歌い上げるのは物理空間における真偽になぞ毛ほどの重要度もない、ということを知っている人の気高さ。そして幸いにも彼の時間は淵の手前で止まっている。

「ロカルノの女乞食」フォン・クライスト
そんな簡単で良いのだろうか?との疑念がいとも簡単に押し流される、脳みそが喜ぶベタな勧善懲悪。

「スペードの女王」プーシキン
いきあたりばったりで最後は降って湧いた勧善懲悪。読者の脳みそが話についていけてるのかいけてないのか迷って結論は「なんとなく怪奇」

「イールのヴィーナス」メリメ
ストーリーとあまり関係のない無駄なエピソードや回り込み撮影のような人物像の4次元的な描写、主人公のリアルすぎる俗っぽい感想など、なかなかに恥ずかしげもなく世界を創りあげている。才能と和解できないルキアノスにして愛すべきペテンのメリメ。

「幽霊屋敷」ブルワー=リットン
全力で中二病を吹いておきながら、「まあ聞いた話なんすけどね」的な無責任ラスト。読者の脳が今まで自分が見ていたのは夢だったのか?なんだこいつの精神構造?的な怪奇。

「アッシャア家の崩没」ポオ
辛気臭すぎてたぶん1/4でギブアップ。安定のポオ。こいつのせいで以降の作品の読む気までなくした。と思ったがこの本はたぶん少年ジャンプ的な感じで、後ろに行くに従って出来が悪くなるってやつの気がする。ということは、幽霊屋敷は最後にどうにかこうにか我に返ったがポオはラストまでこの調子だったのだろう、と予想。

「ヴィイ」ゴーゴリ
「クラリモンド」ゴーチエ
「背の高い女」デ・アラルコン 素人オカルト報告サイトのような印象の薄さ。
「オルラ」モーパッサン
「猿の手」ジェイコブズ
「獣の印」キプリング
「蜘蛛」エーヴェルス
「羽根まくら」キローガ
「闇の路地」ジャン・レイ
「占拠された屋敷」コルタサル

レビュー投稿日
2016年7月31日
読了日
-
本棚登録日
2016年7月31日
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