耳無芳一の話

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レビュー : 8
booklog-userさん  未設定  読み終わった 

美術品特有の理不尽ストーリー。

これは一見するとギリシャ神話に見られるタイプの、美を目的とした美であるように思われる。ストーリーから徹底的に意味が排除されている。

しかしながらギリシャ神話の耽美が結局は神に対する畏敬の産物であることに比して、こちらは文字通り美を目的とした美であり(更に言えば物の怪たちは著者の美の欲望を叶える手段として利用されるという立ち位置であり)二つは出自を異にしている。

美のための美という意味では同じであってもこれを手放しに耽美と形容できない理由は、そこに人間を使役する者の影が含まれていないからであろう。悪魔的な美に当てはめるにしても、悪魔は徹底的にみじめで卑小で嫌悪感を抱かせるものでなくてはならないので、いささかまともすぎる物の怪たちには難しい。結局は神の威を借りた神秘程度の美に落ち着く。

などと耽美について考えるのに役立った。

レビュー投稿日
2015年12月2日
読了日
2015年12月2日
本棚登録日
2015年12月2日
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